ロボットが行う多種の作業に応じて、それぞれに必要な効果器(作業機構)を自動的に交換するシステムを構築した。一台のロボットに必要な機能をすべて付加するのではなく、ロボット本体は移動に必要な機能のみを持ち、作業専用の機能を効果器として分離する。これによって効果器の交換により多種の作業に対応する汎用化を実現した。効果器の具体例として、充電効果器と床拭き効果器を開発した。
運搬者の操作に従って台車が駆動することにより荷物運搬時に運搬者にかかる負担を軽減させる電動台車操作機能と、運搬者が台車を使用し終わった後に元の場所(台車置き場)まで自動的に帰還する自律的帰還機能を持つロボット台車を開発した。グリップレバーと最高速度指定ダイアルを用いた操作インターフェースにより電動台車の操作・操縦を実現し、また自律的帰還機能はプレイバック(教示再生)ナビゲーションの枠組みにより実現した。
カメラのフラッシュとレーザーポインタを組み合わせた操作コントローラにより対象物を指し示すだけでロボットへの動作指示が可能なシステムを開発した。フラッシュにより操作対象物の大まかな位置を示し、ロボットは全方位カメラでこれを検出する。全方位カメラを用いることで、ロボットの向きに関係なく対象物の方向を指示することができる。次にレーザーポインタで直接対象物を照射し、ステレオカメラにより対象物の三次元位置を取得する。ステレオカメラシステムとして、Pan-Tilt装置によりカメラ姿勢を変更して撮影が可能な Active Stereo Vision を採用した。
大型の倒立平行二輪型ロボットに人が乗り、倒立制御を行いつつ乗り手の意志によって走行するシステムを開発した。乗り手の重心移動により走行指示ができるよう、乗り手とロボットを2つのリンクによってモデル化し、2リンク間の相対角を速度指令値に反映させる制御システムを開発した。
災害時の被災者発見に用いるセンサシステムである、「マルチセンサヘッド」の開発を行った。マルチセンサヘッドは、一度に広範囲の状況を撮像するカメラ、広範囲を照射可能なLED照明、センサの姿勢を測定するセンサにより成る。マルチセンサヘッドは棒の先に取り付けて瓦礫内へ挿入され、魚眼レンズと全方位ミラーを搭載したカメラを用いることで全球に近い状況を一度に撮像・表示することが可能である。
オムニホイールを用いた全方向移動機構を持つ移動台車の開発を行った。経路追従を目標とし、それに伴う要素技術として、逆キネマティクス、駆動輪速度制御器、モータトルク制御器、冗長な自由度を持つ移動体のキネマティクス、オドメトリ(デッドレコニング)を実装した。
人が管理しにくい環境にある施設における、日常的な点検を遠隔地から実施するためのシステムを移動ロボットを用いて構築した。基本的にはロボットが自律的に行動し、搭載された自律機能では対処できない問題が発生した場合、オペレータが遠隔地より操作してメンテナンスを行うシステムを目指した。本システムは、自律的に施設内を巡回する機能、オペレータによる遠隔操作の機能、搭載したカメラによって施設内の画像を取得する機能を有し、また操作インターフェースとしてロボットの現在地を表示するアプリケーションを作成した。